月夜浜 / Acoustic Parsha 

”月夜浜”と書いて”つきやはま(つきよはま)”と読む
元は「月夜浜節」という八重山民謡で
さらに遡るとそれは1700年代の「月夜浜ユンタ」に源を持つもののようだ(参考:検島誌.com
八重山(列島)とはご存知の通り
南西諸島の西部に位置する島嶼群で
有名な所では石垣島、竹富島、与那国島などが含まれる

この古典民謡を
実にハートフルなアレンジで聴かせてくれるのがアコースティックパーシャ
パーシャクラブのリーダー上地正昭がプロデュースするアコースティックユニットである
メンバーは
 新良幸人(三線・歌・琉笛)
 知名勝(ギター)
 真境名陽一(ベース)
 金城弘美(コーラス ※のちに加入)
の4人

この曲を知ったのは
沖縄の歌ばかりが収められたコンピュレーションアルバム
アルバムはレンタルしたもので
タイトルすらすでによく覚えていないのだけど
この曲だけはしっかり録音していたのだ
一回聴いてドドド〜ンと引き込まれてしまったわけである

沖縄音階を踏襲した何故か懐かしさを感じるメロディー
新良幸人の、腹の底から出てくるような迫力ある歌声
三線独特の乾いた哀愁ある音色
ウッドベースの深みある音とアコースティックギターの現代的な音
時折入る琉笛の風流ある音調
どれもが見事に融合していて
八重山の風と光を運んでくるようだ
録音も非常に高クオリティで
新良幸人のボーカル高音域なんか実に透明感があってすばらしい

歌は「月夜浜」であるが
実際に夜の浜を歌ったものではない
何を歌ったものかというと
琉球新報のウェブサイト・沖縄コンパクト事典から引用すると
 「畑に真っ白に咲き誇る木綿の花はまるで月夜の浜辺のようだ。真っ白な綿花を摘み、糸を紡ぎ、愛しいひとのために、極上の手巾を織りさしあげましょう、という内容」
である
なんとも美しく、けな気だ

ちなみにこの曲はアコースティックパーシャのアルバム『月夜浜』に収められている
アルバムは通常、沖縄方面以外では手に入りにくい代物のようで
Amazonなどでも取り扱っていないようだ
しかし、公式HPで通販で購入できるし
現地ショップのオンライン店などでも手に入るもよう
興味のある方はぜひどうぞ

 ☆Parsha World 公式ウェブサイト

REGGAE STYLE 

帯にはこうある
「ポップなレゲエとスウィートなR&Bが満載!!」

これでほぼ全部の説明がつくと思うけど
要はR&Bの名曲をレゲエ(ダンス)調にアレンジしてノンストップで聴かせるというコンピュレーションアルバムである
正直、この方面には疎くて
歌っている人の誰一人としてその名前を存じ上げない、すまぬ
ミックスやクリエーターがどうこう言われてもそれも存じ上げない、すまぬ
すまぬすまぬのオンパレードですまぬが
肝心の内容はイカしている、イエーイ!

「今夏手放せない・・・」というキャッチも同時に帯にあるが
本当に車に1枚、浜辺に1枚、という感じがする
レゲエのリズムというのは体に染み込むというかなんと言うか
全然嫌いではない
夏に浜辺で流れていたりするのを聴くと
なかなか良いなと思う
ちょっとジャマイカ国風色使いの海パンでもはきたい――なんて思ってしまう
いや・・・いっそ髪を複雑に編みこんでみようか――と思ったりさえする(←編みこむほどないって!)

えーっと、曲目ですね
25曲もあるので抜粋で行きます
もう英語で打つのも面倒なのでカタカナで行きます
小憎らしいほど痛いところをついてくるラインナップを、さあどうぞ

04「スウィート・ラヴ
 アニタ・ベイカーのよく知られた名曲
 原曲はしっとりしたバラードだが
 その雰囲気を削ぐことなく仕上げている
05「ロウ・ダウン
 ボズ・スキャッグスの曲
 いやぁ、アニタからボズへの繋ぎなんてサイコー
 ボーカルも抑え気味でナチュラル
07「ホワッツ・ゴーイン・オン
 マーヴィン・ゲイの名曲
 この人を入れんわけにはいかんわな
10「ジョアンナ
 僕も昔から大好きなクール&ザ・ギャングの代表曲
 元々レゲエっぽいリズムだったけど
 ドンピシャのハマりよう
12「ワッチャ・ゴナ・ドゥ・フォー・ミー
 ここでチャカ・カーン
 チャカとレゲエ、ナイス
13「イズント・シー・ラヴリー
 全曲から連鎖的に突入
 言うまでもなくスティーヴィー・ワンダーの一曲
 チャカ――スティービーで強力な中盤を形成
 サッカーで言えば稲本―中村俊のよう
14「素直になれなくて
 えっ? と思わせる選曲
 シカゴのバラードをレゲエのリズムに乗せて
 これが思いのほかマッチしていて驚き
15「ウィ・アー・オール・アローン
 ちょちょちょ・・・ちょっと待って
 これほど好きな曲が続くとはうれしい限り
 再びボズ・スキャッグスのスタンダードナンバー
 キーボードを前面に出した爽快なアレンジで聴かせる
16「イッツ・トゥ・レイト
 サックスのイントロでメロウに
 オリジナルはキャロル・キング
 全然関係ないけどこの歌
 小林信吾のソロアルバムで杉山清貴が歌ってたけど
 そっちも良かったゾ
18「ロック・ウィズ・ユー
 なんとマイケル・ジャクソン
 コーラスもいい感じ
21「ターン・ユア・ラヴ・アラウンド
 たぶん、このアルバム中最もキマっている一曲
 ご存知ジョージ・ベンソンのナンバー
 原曲とあんまり変わらない? という感じのアレンジ
 どういう風にやってもカッコイイな、この曲は

こんな感じで25曲ノンストップ
ここに挙げなかった他の曲も
どれも粒揃いである
ラストは「アイ・ワナ・ビー・ユアーズ」(トレリーニ)で爽快に締めくくる

リリースは2002年夏
エイベックスから

alone / Bill Evans 

1968年録音
録音場所はニューヨークのウェブスター・ホール
ビル・エヴァンス初のソロピアノ作品としてよく知られている
タイトルはその名も「アローン」
一人きりの名演である
レコードでの曲数は5曲
A面に4曲、B面はなんと1曲のみ
その1曲は14分28秒にも及ぶ
僕が聴いたCDは「アローン+2」
つまり2曲が追加されているもの
計7曲の至福の時間が流れる

01「HERE'S THAT RAINY DAY
 まるで雨音のような美しいイントロで幕を開ける
 そして、ピアノが壊れてしまうのを恐れるかのような柔らかなタッチでの音
 続くメロディーはどこまでも美しい
 本当に、雨の日にしっとりと聴くには最適
 後半はやや元気良く
 それもまた秀逸
 ジェイムス・ヴァン・ヒューゼンジョニー・バークの作品
02「A TIME FOR LOVE
 ジョニー・マンデル
 ああ、いいタイトルだなぁ
 そのタイトル通りの美しいメロディーが展開される
 前半はしっとりとした恋愛映画に合いそうなトーンだが
 途中から弾むようなタッチに変わって雰囲気はまた変わる
 オーラスは再びドラマチックに
03「MIDNIGHT MOOD
 前2曲比べてややポップな感じの馴染みやすい一曲
 ジョー・ザヴィヌルの作品
 何と言うか、ちょっと引っ掛けながら弾くというか
 微妙に遅らせながら弾くプレイがとてもナイス
04「ON A CLEAR DAY
 バートン・レーン作曲
 ミュージカルナンバー
 アルバム中、最もアップでブライトなナンバーか
 滑らかなピアノに聴き惚れてしまう
05「NEVER LET ME GO
 レイ・エヴァンスジェイ・リヴィングストンによる曲
 とにかく14分もあるナンバー
 これ一曲でしっかり三曲分くらいはあるわけだ
 とにかく、なにか大きなエネルギーを感じる
 時々、ハッとさせられるような音が耳に飛び込んできて
 どう言うか、覚醒させられる感じがする
 脳に響く・・・この音楽

あとの+2は
06「ALL THE THINGS YOU ARE 〜MIDNIGHT MOOD
07「A TIME FOR LOVE(別テイク)
である

プロデュースはヘレン・キーン

 ☆YouTube 「HERE'S THAT RAINY DAY」

Summer 4 Rhythm / 角松敏生 

まぁしかし
爽やかでんな〜
アルバムに付随する写真のどれもが爽やか
その青い色もいいけれど
手にあるただの紙の中から
本当にさわさわと風が吹いてきそうである
リリースは2003年8月6日
真夏の暑い暑い一日に届けられた

01「BEAMS
 この”オープニング感”
 好きだなぁ
 山下達郎の『SPARKLE』(FOR YOU/'82)を彷彿とさせる
 短めの詩的な歌詞というのも似通っている
03「真夜中の太陽
 TBS系「チューボーですよ!」エンディングテーマとして使われた
 イントロのカッティング・ギターが印象的
 イントロから”走り抜ける”と歌に入るまでの勢いがいい
 歌いはじめの”は”に入るタイミングが絶妙だ
 角松のボーカルは実にナチュラル
 気負うことなく歌っている
 沼澤ドラムがうまく全体をノせているように思う
09「桃色の雲
 青木ベースがなんともしっかりボトムを支えている
 そのベースにギターとドラムがうまくミックスされるイントロからして期待がどんどん膨らむ
 特に、Aメロが大好きだ

このアルバムにはスペシャルディスクとして
もう一枚のCDが入っている
ピックアップされた曲に小林克也のDJが加えられているもので
80年代に流行った「DJモノ」を現在に甦らせたという企画モノである
こういったDJモノはかつて僕も好んでよく聴いたが
本アルバムにおけるこの企画は、正直、どうでっしゃろ?

いや、決して嫌いではないし雰囲気もよく分かるのだが
悲しいかな、今の(この時の)角松ソングに合っていない
ミスマッチの感がどうしても拭えないのである
それは角松の作る曲や歌との整合性という点でも言えるし
ソフト環境そのものにも要因があると思うのだ

「DJモノ」にはアナログ感が欲しい
あの独特のラジオ的感覚を伴う必要がある
これが、80年代においては
ソフトとしてパッケージしても成立させてしまう要因があって
それは「ノイズ」の存在だと思うのだ
80年代のレコード時代には、幸か不幸かこのノイズが付き物だった
レコードに針を落として無ノイズであるわけがない
こいつをまたカセットテープに録音して
簡単には頭出しの出来ない環境の中でぶっ通しでDJモノ作品を聴く
自分の好きなアーティストの歌をDJで繋いだ作品
たとえ家の中で聴いたとしてもそれほど乖離しないのである
わざわざ作った「〜的シロモノ」なのだが
ノイズという共通項がそれなりの結果をもたらしたのである

CDの時代になって音(サウンド)自体が明確にクリアになり
あのラジオ感なりアナログ感を見つけ出すことは難しくなった
というか、そもそもそれらを排除したデジタル環境が現在である
聴きにくさ(ノイズ)や手間(良い電波を探すなど)がないところに
その代名詞のようなDJモノを載せてもピンと来ないわけである
欲求を満たす回路が最初から繋がっていない――
と言えなくもないのである

だからむしろ
そいつをCDソフトとして発売するのではなく
たとえば本当にFMの電波に載せてやったらどうなのだろう?
人々が海へ向かう8月のある日のある時間帯を見計らって
小林克也(仮にです)のDJを加えてぶっ通しで角松音楽を1時間流す
その日その時間にしか聴けない特別なサウンド――って素敵ではないか!
スポンサーの宣伝は挟めないからNHK
お手軽なデジタル時代だからこそ意味あるホントの「DJモノ」
そんなFM番組を聴いてみたい気がする
あわよくば、DESIREの時のように
それから初めてパッケージを考えればいいではないか

僕なんか
エアの録音環境と言えば未だにカセットデッキしかないから
必死でエアチェックしますぅ〜

せつないくらいに君しか見えない / 東野純直 

東野純直(あずまの・すみただ)
僕と同じ世代の人ならこの人のことを知っているだろう
1993年に「君とピアノと」でデビュー
テレビやラジオでも結構な頻度で登場し
曲自体もピアノを効果的に使ったなかなかフムフムな良い歌だった

君とピアノと」は
普通、よくあるAメロ→Bメロ→サビという一般的な構成とちょっと違って
A→B→変型B(B´)→サビという具合になっていて
そこのところが非常に耳に残る佳作なのである
ワンコーラス目の歌詞で言えば
 〜君との想い出があり過ぎるこの部屋〜
の所が秀逸なのだ

そのヒットした「君とピアノと」をアルバムバージョンで含めたデビューアルバムが出されたのは1993年9月
ピアノを効果的に取り入れるという手法に大いに興味があったので
リリースと同時に手に入れたのだった
結果的にアルバム全体を長く聴くことはなかったけど
そんな中で、未だにしつこく聴いている一曲があることを明記しておきたい

その曲は
03「せつないくらいに君しか見えない
 物憂げなメロディー、抑え目なトーンで始まるバラード
 後半に行くにしたがって段階的に盛り上がっていくお約束のラブソング
 作詞・曲は東野純直自身
 全編でストリングスが用いられていて美しい
 そのストリングスアレンジはベテランアレンジャーの船山基紀
 安心・安定のベテランらしい音を聴かせてくれる
 ボーカルはクセがなく非常に聴きやすい
 もっとも、その「クセのなさ」が物足りない部分と言えば部分
 全体を長く聴けなかった理由はそんなところかもしれない
 ってところで肝心の話・・・
 この曲におけるエレキギターである
 長いワンコーラス(2分33秒まで)に続いて間奏に入る
 ストリングスの優しい音に重なって少しずつエレキの泣いた音が入ってきて
 2分47秒あたりにドラムがドーンと堰を切ったかと思うとギターソロが展開される
 低い音から高い音へ淀みなく移行し
 再び低いへ返してはまた一気に高音域へスライドする秀麗なフレーズ
 バックではストリングスが豪快にアンサンブルを奏で
 ドラム音はやや前面に出て一定のテンポをとる
 その中で、至極透明で哀愁あるギターの音色が響くのだ
 一音一音を大事に確かめるように弾かれるギターソロ
 弾いているのはDIMENSIONの増崎孝司である
 
1993年ならばDIMENSIONがちょうど1stアルバムを出した頃
その時、僕はまだディメを聴いていなかったので
もちろん増崎孝司の名前も知らなかったことになる
だけど、渚のオールスターズやこの東野純直作品での増崎プレイは
すでにしっかり僕の耳に入り込んでいたようである
後年、いよいよディメにのめり込んでいくようになって
すっかり増崎孝司という名前を我がラインナップに加えてから
改めて東野作品のクレジットを見て増崎孝司が参加していたことを知ったのである
これでもかというほど目をパチクリしたことは言うまでもない