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 2008年07月 

摩天楼ブルース / 山本達彦 

高校2年生の時にJADOESのデビューアルバムを紹介してくれた友人(参照記事
彼が続けざまに「この人知ってるか?」と持ってきたのが山本達彦だった
当時僕はその名前を知らなかったのだが
「角松が好きならコレもイケる」
と友人はきっぱりと言う
それならと友人からアルバムを借りたのだ
借りたのは1982年リリースの『I LOVE YOU SO』だ

最初聴いた時は正直
全体的にメロディーラインが少々重く感じてあまり良いとは思わなかった
テープにも録音したことはしたが
しばらくするとあまり聴くことがなくなってしまった
角松や達郎のメロディーと比較すると
どうしても少し古めの「ニューミュージック」を感じてしまったのだ

ただ、「摩天楼ブルース」という歌は僕の耳を完全に虜にした
以来、何年にも渡って聴き続けている大好きな曲である
何度聴いても初めの新鮮さが失われない
実にすばらしい歌だと思う

山本達彦作曲、杉山政美作詞
曲はキーボードの一定音がフェードインしてくる
かと思うとすぐさま
 〜この手で強く〜
と歌が始まる
普通、歌にはだいたい一定時間のイントロがあって
それなりの準備期間のようなものが用意されているものだが
この曲にはイントロと言えるものがほとんどなく
いきなり歌の世界が始まる

そんな形態の曲というのは何も「摩天楼ブルース」に限ったことではない
歌がいきなり始まる曲など探せばいくらでもあるだろう
しかし、この歌は絶妙なのである
歌いだしのAメロが実に鮮やかで
「ちょ、ちょ、ちょっと待って! もちょっとゆっくり行かんかいっ!」
なんて思わされる
「もっとゆっくり進んで! 堪能させてっ!」
と思ってしまうのだ
そうやってにわかに悶えたかと思うと
 〜貴方は吐息 小さくもらすよ〜
というナイスなボーカル部分にさしかかってしまうのである
ここらで、さらに「ゆっくり進んで〜!!」と叫びたくなる

もっとも、この曲はスローなバラードである
つまりテンポとしては何も急いでいないのだ
むしろ、どこまでもゆっくりと穏やかに淡々と進行していく
ところがなぜかアセってしまうのである
何もなかったかのように事もなげに進まれるのが何だかくやしいとさえ思う
ついついテープを巻き戻したい衝動にかられるのだ(実際戻したこと数知れず)
ずっとそのメロディーを噛み締めていたい――
そんなふうに思わされてしまう

山本達彦を聴いたことがない人のために言うと
似ているボーカルで言えば
甘い声や抑えた歌い方など
来生たかおという名前が挙げられるかもしれない
時折聴かれるやや鼻にかけた発声や
驚くほど一瞬低音が効く歌い方(声)などは山本達彦独特のもの
とにかく甘い歌声だが決して軽くない

あと
最近の人で言えばケミストリーの堂珍あたりが結構近いかも
あっ、この歌、ケミストリーがカバーしても良さそう
うん、絶対イケる

 ☆試聴せよ! listen.jp